あれは、仲見世の、どのあたりだったか。
迷い子みちしるべ石の、大きな石が、あった。浅草仁王門前、とか 仲見世前とか、かいてあるが。 江戸の元号だったようなきがする。遊びに来て、はぐれ、 あるいは、さらわれ、気もくるわんばかりに、声張り上げて、子の 名をよぶ母の声が、聞こえる。 石には、探す方と、預かっているほうの、面があり、名前や、 特徴を、書いた紙を、はるのだろう。 みつかればいいが、何度石の前に立っても、みつからぬ時はー デパートや、行楽地でも迷う。 勝手に、食料品売り場にいった、母を、どれだけさがしたことか。 家で、順番を待ちきれず、ポン菓子屋の、前に座り込みにいった 息子を、さがしまわったこともある。 ましてや、30年。 |
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